熊本のAI導入支援まとめ|相談できる公的窓口と、使える制度(2026年8月時点)

2026-08-26 執筆: 今長 学(Exist Japan株式会社 代表取締役)

「AIを入れたいが、どこに相談すればいいのか」 「補助金は使えるのか」

熊本県内でAI導入支援をお探しの方から、この2つはほぼ必ず聞かれます。本記事では、その2つに正面からお答えします。

先にお伝えしておきます。2026年8月時点で、県・市の主なDX補助金は受付を終えています。この事実を伏せたまま相談を促すことはしたくないので、前半で相談窓口を、後半で制度の現状と来年度に向けた準備を整理します。

まず現在地:熊本の企業の62.8%は、すでに動いている

熊本県が令和7年度に県内企業・団体475社を対象に実施したDXの取組状況調査によると、

  • DXを「理解している」「ある程度理解している」の合計 … 69.1%
  • 既にDXに取り組んでいる企業 … 62.8%(前回調査から3.7ポイント増)
  • 具体的な取組内容のうち「AI活用(チャットボットによる自動化やビッグデータ分析等)」の伸び … 前回調査比+7.6ポイント
  • DXに取り組むうえでの課題の第1位 … 「DXに関わる人材が足りない」59.4%(第1回調査から増加傾向)
  • 行政等からの支援で期待すること第1位 … 「補助金・助成金」73.7%

出典:熊本県 DXの取組状況に係る調査報告書(令和7年度・475社回答)

一方で、従業員20人以下の企業や建設業・卸売業では「必要だと思うが取り組めていない」が3割以上を占めます。動いている会社と、まだの会社に分かれ始めている——これが熊本の現在地です。

相談できる公的窓口と、その使い分け

熊本県内には、AI・DXの導入について相談できる公的な窓口が複数あります。それぞれ役割が違うため、一覧にしました。

最初に当たるべき2つ

迷ったら、次の順番で当たってください。

1. ものづくり系なら「シンカ企業派遣支援事業」 製造業などものづくりに主体を置く県内中小企業・小規模事業者が対象で、IoTや省エネに詳しい専門家チームが現場に入って伴走します。無料・原則5回まで(1回2時間が基本)。予算上限額に達し次第、期間内でも受付終了となる点にご注意ください。 問い合わせ:くまもと産業支援財団 事業革新支援室 096-289-2438(上益城郡益城町田原2081-10) → シンカ企業派遣支援事業

2. 業種を問わないなら「熊本県よろず支援拠点」 国が全国に設置している中小企業向けの無料経営相談窓口です。個別相談のほか、出張相談会・セミナー・勉強会も実施しています。 → 熊本県よろず支援拠点

どちらも無料です。有料の支援を検討する前に、使い切っていただくのが合理的だと考えています。

使える制度:2026年8月時点の正直な状況

いま動かせるもの

中小企業デジタル化・AI導入支援事業(デジタル化・AI導入補助金2026) 2026年度から「IT導入補助金」より名称が変わりました。補助対象経費はソフトウェア購入費・クラウド利用料(最大2年分)に加え、オプションとして導入コンサルティングや導入設定も含まれます。通常枠は1プロセス以上で5万円〜150万円未満、4プロセス以上で150万円〜450万円以下。申請には事務局に登録されたIT導入支援事業者とのパートナーシップが必要です。締切は通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠が2026年9月29日(火)17:00、複数者連携枠が2026年10月30日(金)17:00。 → 制度ページ

人材開発支援助成金(厚生労働省/窓口:熊本労働局) 従業員に職務に関連した訓練を受けさせた場合に、経費と訓練中の賃金の一部が助成される国の制度です。通年で運用されていますが、コースごとに要件・申請期限があります。訓練開始前に計画届の提出が必要なため、研修日程を決める前にご相談ください(熊本市西区春日2-10-1 熊本地方合同庁舎A棟9階)。 → 熊本労働局 各種助成金のご案内

熊本県 副業・兼業人材活用促進事業費補助金 研修ではなく、外から人を招くための制度です。補助率10分の8以内・上限50万円(1社あたり)と手厚く、窓口は熊本県プロフェッショナル人材戦略拠点「プロベース」(096-319-5566)。社内にAIが分かる人が一人もいないなら、まず副業人材を入れ、その人と一緒に社内へ広げる進め方もあります。 → 制度ページ

来年度に仕込むなら、熊本市DX環境整備事業補助金

ここが本記事でもっともお伝えしたい部分です。

熊本市DX環境整備事業補助金は、補助対象経費に次の項目が明記されています。

デジタル人材関連費(研修受講料〈WEB受講含む〉、講師謝金、外部人材登用手数料 等)

つまり、AI研修の受講料が正面から対象になる制度です。機器やソフトの購入だけでなく、人が学ぶための費用が対象と書かれている制度は多くありません。

制度の概要

  • 実施主体:熊本市(経済観光局 産業部 経済政策課)
  • 対象:熊本市内に本社または主たる事業所を有する小規模企業者・中小企業者、またはこれらを主体とする組合・任意団体(市税の滞納がないこと
  • 補助率・上限:2分の1以内/上限40万円
  • 令和8年度の状況:募集は令和8年7月1日〜令和9年1月29日の先着順の予定でしたが、予算額に達したため7月31日に締切となりました

熊本市DX環境整備事業補助金

注目すべきは「先着順」であること

募集期間は約7か月間が予定されていました。それが1か月で予算に達して締め切られています。制度が使いにくいのではなく、需要に対して枠が小さいということです。行政に期待する支援の第1位が「補助金・助成金」73.7%と突出していたことを思い出してください。多くの会社が同じことを考えており、先着順の制度は募集開始のその日に申請できる会社が取ります。

来年度に向けて、いまから準備できること

毎年度実施されている制度ですので、来年度を狙うなら、次の準備を今年度中に済ませておく価値があります。

  1. 市税の滞納がないことを確認する(要件に明記されています。確認だけなら今日できます)
  2. どの業務を、どう変えるかを1枚にまとめる(申請直前に考え始めると、先着順に間に合いません)
  3. その業務にいまかかっている時間を測っておく(申請書の説得力が変わります)
  4. 研修の見積を取っておく(受講料が対象経費になるため、金額が確定していると動きやすくなります)
  5. 募集開始時期(例年7月ごろ)に、公式ページを確認する体制を作っておく

なお、県の中小企業DX推進臨時補助金も来年度の公募が想定されます。こちらはAI・IoT・RPA・クラウドサービス等の導入機器が対象で、補助率3分の2以内・上限500万円と規模が大きい制度です。ただし令和5年4月1日以降に従業員一人当たりの所定内賃金を引き上げていることが要件になります。賃上げの実績と、「どの業務をどれだけ短縮するか」の数字を整理しておくと、申請書が書きやすくなります。

半導体という文脈を、どう読むか

熊本のAI導入を語るとき、半導体の話は避けて通れません。ただし、ここは県・公的機関の公式発表の数字だけで見ます。

この2つの数字からAI導入支援を検討する企業が読み取るべきなのは、経済効果ではなく採用市場の話です。

新規雇用1,700名という規模の求人が県内に生まれるということは、それ以外の業種にとって人の確保がさらに難しくなるということでもあります。県の調査でDXの課題の第1位が「人材が足りない」であり、それが増加傾向にあるという事実と、この構造は無関係ではありません。

さらに県内の事業所の56.9%は従業者1〜4人、1事業所あたり平均9.8人です(熊本県 令和3年経済センサス-活動調査)。この規模で採用競争に勝つのは現実的ではありません。

だからこそ、採用で人を増やすのではなく、いまいる人ができることを増やす方向にAIを使う意味が、熊本では一段強くなります。AI導入支援を「コスト削減の手段」ではなく「採用の代替手段」として位置づけると、投資の判断がしやすくなるはずです。

支援を受ける前に、社内で決めておく3つ

窓口に相談する前に次の3つを決めておくと、話がまとまるまでの時間が半分になります。

  1. どの業務を変えたいのか(1つに絞る。「全社的にDXを」では、どの窓口も具体的な助言ができません)
  2. その業務に、いま誰が何時間かけているのか(数字があると、支援側も制度側も判断できます)
  3. 誰が担当するのか(経営者が決め、担当者1名が手を動かす。この2人体制で十分です)

逆に、決めなくていいのがどのAIツールを使うかです。ツールは業務が決まれば自ずと決まりますし、先に決めると、そのツールでできることに業務のほうを合わせてしまいます。

当社のAI導入支援について

当社(Exist Japan株式会社/熊本AIスクール)は、次の形で企業のAI導入をお手伝いしています。

  • 企業向けAI研修:3時間・ハンズオン形式。10名まで165,000円(税込)、11〜50名220,000円(税込)、51名以上275,000円(税込)。講師が御社に伺い、出張費は実費を事前にお見積りします。オンライン実施にも対応
  • 実践型AI講座:2日間(実働6時間×2)・定員1〜6名。受講料440,000円(税込)。オンライン開催が基本で、対面をご希望の場合は熊本県内へ出張します
  • AI顧問(伴走支援):週1回90分×6ヶ月で、社内にAI活用の推進役を育てます。月額330,000円(税別)

講師の今長 学(代表取締役)は、生成AI研修の受講者が累計500名以上、セミナー・研修の登壇が200回以上です。

繰り返しになりますが、まずは無料の公的窓口をお使いください。そのうえで足りない部分が出てきたときに、ご相談いただければと思います。上の「社内で決めておく3つ」のうち1番だけでも決まっていれば、その場で具体的な話ができます。


※本記事の制度内容は2026年8月26日時点で各公式ページに掲載されていた内容です。要件・金額・期限は変更されることがありますので、申請前に必ず公式ページでご確認ください。当社は補助金の申請代行を行っておりません。

今長 学(いまなが まなぶ)の顔写真

この記事の著者: 今長 学(いまなが まなぶ)

Exist Japan株式会社 代表取締役。経産省認定 経営革新等認定支援機関、大分県中小企業アドバイザー。生成AIビジネス活用研修 受講者累計500名以上、登壇200回以上。中小企業のAI活用とマーケティングを支援。→ プロフィール詳細

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